第32回全国大会情報

2007年5月11・12・13日(明治大学)

 

統一論題 「企業の社会的責任と労働の国際比較―市場vs人権の視点から―」


 

日本比較経営学会と労務理論学会の共同大会の開催について

 

日本比較経営学会理事長 林 正樹(中央大学)

労務理論学会会長   黒田 兼一(明治大学)

 

 IT化とグローバリゼーションのなかで、市場と企業経営、労働と労使関係、人事労務は大きな変貌を遂げつつあるようにみえます。それらは社会と経済の土台を揺るがすような変化だともいわれていますが、それだけに、批判的視点をもちながら科学的な研究を推し進めることは容易なことではありません。これまで培ってきた研究成果だけでは解明できない課題が山積しているからです。新しい発想と方法、新しい分析視角、新しい分析枠組みが必要になっているように思われます。
 時代が求めるこのような課題に応えていくためには、学会活動も内向きではなく、開かれた学会として他組織・他団体とオープンかつ積極的に交流していくことが必要となっています。
 このようなことを企図して、日本比較経営学会と労務理論学会は、来たる2007年度の全国大会を共同で開催することになりました。それは、学会の規模がほぼ同程度で、かつまた研究領域が相互に密接に関連しており、会員の問題意識と研究方法なども重なり合いながらも独自性をもっていることなどから、両学会とその会員に有益であろうと思われるからです。
 双方の独自性を堅持しながら、幅広く学際的な議論を交わし、相互に刺激し合うことで、双方の研究水準の向上に資することができると確信しております。

 

日本比較経営学会第32回大会
統一論題「企業の社会的責任と労働の国際比較―市場vs人権の視点から」企画趣意書

 

第32回全国大会プログラム委員会 委員長 仲田正機(立命館大学)

 

 世界経済は、いま、大きな曲がり角に立っている。破局へ進むか、諸困難を克服して人類史的な新展開の基軸を模索できるか、である。9.11事件以降に限定しても、「アングロサクソン文化圏」と「イスラム文化圏」との一部分における突起的な衝突から生ずる、まことに目を覆いたくなるような悲惨な現実、暴走する新自由主義的な経済政策の必然的な帰結としての社会格差の増幅、地球的規模で広がる安心と安全の欠落から生じる社会的不安定性の増大、働く意欲と必要性があるにもかかわらず就業機会を奪われた若者の顕著な増加、等々、どれもこれも、人類史的な解決課題として私たちの眼前に立ち現れている。
 経済運営や企業経営に係わる関係諸機関のいくつかも既に発言し、行動を開始している。
二つだけ挙げておこう。一つは、国連のグローバル・コンパクトである。1999年1月に開催された「世界経済会議」(ダボス会議)で国連のアナン事務総長(当時)は、グローバリゼーションを発展的に生かすには、「世界人権宣言」、国際労働機構(ILO)の「基本宣言」、および地球サミットの「環境宣言」を通じて国際的に広く認められた、人権、労働基準、地球環境保全に関する9つの原則を、世界の民間企業が厳守すべきことを提示し、これに呼応する「グローバル・コンパクト」各企業(2005年現在、日本企業39社を含む世界2351社)も年に一回、9原則の実施報告書を国連に提出し国連もそれをネット上で公表している。また、環境経営の推進団体で知られる国際標準化機構(ISO)も、2004年6月に人権、労働基準、環境保全を含む「企業の社会的責任」の定着をも活動目的に加えることを決定し、現在、人権、労働基準、環境保全、組織の透明性確保に関する「ISO26000」を規格化する作業を進めている。企業への社会からの規制のあり方は進化しつつある。
 日本比較経営学会は、第30回大会では「比較経営学の課題と方法」、そして第31回大会では「比較経営学研究の新たな地平」をサブタイトルにして、いずれも「企業と社会」を統一テーマに設定し議論を深めてきた。第32回大会は、労務理論学会との共同開催という画期的な試みのもと、「企業の社会的責任と労働の国際比較―市場vs人権の視点から」を統一論題に掲げて、明治大学駿河台キャンパスで開催されることになった。
 時代の要請に応える比較経営研究の力作が報告され、討論が深まることを期待します。

 

日本比較経営学会第32回全国大会の開催について
第32回全国大会実行委員会

 

委員長 風間信隆(明治大学)

 

 日本比較経営学会は、2007年5月11日(金)、12日(土)、13日(日)の3日間、明治大学駿河台キャンパス・リバティタワーを会場として、第32回全国大会を開催します。
 1990年代に入って、とくに東欧諸国を中心とした市場経済化や情報通信(ICT)革命を背景として、世界的規模で「市場原理主義」・「市場万能主義」が跋扈し、各国の企業経営の構造的転換が進展しております。こうした経済や個別企業の経営のあり方のパラダイム的転換は社会との軋轢をも生み出し、さまざまな社会的諸問題をも生み出しております。こうした新しい事象の発生や諸問題の出現に対して、我々としても積極的にこれに取り組み、社会に発信していく責務を果たすことこそ、学会の「社会的責任」であると考えます。同時に、「開かれた学会」として他の学会等とのコラボレーションが、今日の企業経営の「場」において生じている問題の複雑性・多様性・新奇性からもますます求められているように思われます。
 幸い、労務理論学会第17回大会が同じ時期に、また同じ明治大学を会場として開催されることもあって、我々の比較経営学会第32回全国大会も共同開催として運営されることになりました。
 2006年9月15日に開催されました、第1回拡大常任理事会において、第32回大会を労務理論学会との共同開催とすることが正式に決定されました。この共同開催によって、両学会会員相互間の知的交流が深まり、私どもの学会活動にも大きな刺激が獲得されうるものと確信しております。また同時に、第32回大会の統一論題テーマは「企業の社会的責任と労働の国際比較―市場vs人権の視点から―」とすることが決定されました。統一論題の趣旨等につきましては、仲田正機プログラム委員会委員長による企画趣意書をご一読くださいますようお願い申し上げます。
 第32回大会の成功に向けて、労務理論学会第16回大会実行委員会(平沼 高委員長)とも緊密な情報共有・協力を図りながら、全力を挙げて取り組む所存です。どうか会員の皆様のご支援・ご鞭撻を心よりお願い申し上げます。なおご不明の点やご要望がありますれば、大会実行委員会に何なりとお申し出ください。一人でも多くの会員の皆様が来年5月に駿河台の地に足をお運び下さいますように心よりお願い申し上げます。

 

第32回全国大会プログラム
32.pdf
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